【インタビュー】みざわ大作戦!

 今回お話を聞いたのは、島根県奥出雲町の三沢地区で2019年に発足した「みざわ小さな拠点づくりの会」でインターンシップに取り組んだ吉田航さんと鈴木結花さん。
奥出雲にホームステイしながら築いた関係性の変化や自身の成長について伺いました。

※「小さな拠点づくり」とは、小学校区など、複数の集落が集まる基礎的な生活圏の中で、分散している様々な生活サービスや地域活動の場などを「合わせ技」でつなぎ、人やモノ、サービスの循環を図ることで、生活を支える新しい地域運営の仕組みをつくろうとする取組です。
(参照:「小さな拠点」づくりガイドブック

今回インタビューした大学生

■吉田 航(写真:左)

所属:関西学院大学 総合政策学部 総合政策学科 2回生
出身:佐賀県三養基郡

■鈴木 結花(写真:右)
所属:関西学院大学 社会学部 社会学科 2回生
出身:徳島県三好郡

※インターンシップ参加時(2022年度)のプロフィールです。

再び訪れたい場所を作り出したい

━━今回のインターンシップで取り組んだ内容について教えてください。

鈴木)1つ目は2人で協力してやったことなんですが、「三沢を訪れた人たちがつながって、もう1回行きたいと思ってくれるような取り組みをする」という方針をたてて

①三沢を訪れた人向けに、どこに何があるのか知ってもらうためのマップ作り
②三沢のミライト(コアワーキングスペース)に「未来ノート」(駅ノートのようなもの)設置して訪れた人がメッセージで繋がれる仕組み作り

をしました。

二人が作成したみざわ街歩きマップ

━━二人でどんな役割分担で進めたんですか

吉田)インターン前半の調査期間の間に、ただ調査するだけだともったいないので、二人でマップにのせる情報を探して、デザインもCanvaを使って共有しながら作りました。

━━ケンカしなかったですか

吉田)しなかったです。ただ、ゆうちゃん(鈴木さん)がデザインチェックをしてくれたんですが、「可愛くない」とか「微妙」とか、ダメだしはたくさんありました(笑)
鈴木)だってほんまに センスない色使いなんだもん(笑)
でも、こうくん(吉田さん)がいい感じの絵文字を探してくれたり、そもそもCanva提案してくれたのも本当に助かりました!
吉田)インターンが終わった後に、一度三沢に遊びに行ったんだけど、「未来ノート」に何人かコメントを書いていました。
あと、作ったマップもイベントの時に外部から来た方に配ってくださったって聞いて嬉しかったです。
鈴木)すごい!活用されてる !

求められていることを見つけるのが難しかった

━━では、次は個別の取り組みについて伺いますね。鈴木さんはインターンでどんな取り組みをされましたか?

鈴木)三沢で実際に地域をめぐる中で、もうすでに色んな取り組みをされているんですが、参加される住民の方に偏りが出てしまっているのを知り、もっと多くの地域住民を巻き込んだまちづくりしたいと思って、小学生に卒業のプレゼントを制作して贈呈する企画を地域の方々と行いました。

━━難しかったこと、悩んだことはありますか?

鈴木)なかなか自分が三沢で実践したいプロジェクトが見つけられなかったことです。初めに思いついたのは、空き家問題とか大きい課題で、たった1ヶ月の短い期間でできることって何なんだろうって考えて、何も思いつかなくて、自分はここで何してるんだろうって悩みました。
移動販売に一緒について行って地域を回ったり、サロンに参加する中で、色んな方との出会いがあって、「三沢地区」っていうアバウトで曖昧なものに対して自分が何かできるか、っていうのを考るんじゃなくて、関わってくださってる方とかいつも喋ってくださってる方とか、具体的に「この人のために自分が何ができるか」「何をしてあげたらいいだろうか」っていうのを考えるようになってからは、プロジェクト考えやすくなったと思います。 

━━具体的な人をイメージしたらやることが見えてきた?

鈴木)はい。その人のために何かプロジェクトできるかなって考えてからは、これだったら自分にもできる、っていうきっかけ作りを見つけられて、結果的に喜んでくださった姿を見ることができたので、すごい 達成感につながりました。

おすそわけ食堂大作戦!

━━吉田さんはインターンでどんな取り組みをされましたか?

吉田)1つ目は、地域で竹林が問題になっているので、竹を使った工芸品の制作(お皿やコップ、スピーカーカバーなど)をしました。
2つ目は農家さんの捨てられるお野菜を使っておすそわけ食堂を企画・開催しました。

━━課題は、鈴木さんと同じように実際に自分で地域を巡って見つけられたんですか?

吉田)そうです。移動販売について一緒に見て回ったり、地域で「ともに食堂」をやってらっしゃる管理栄養士の方からお話をきいて、土地はあるけど高齢化になりせっかく作った野菜が食べられずに捨てられてしまうそうで、せっかく美味しい野菜がいっぱいあるのに使われてないのはもったいないな、というのが自分が感じたことでした。

━━開催してみていかがでしたか?

吉田)野菜を提供してくださった方に感想をいただいた時に、こんなに美味しく作ってくださる方とか場所があれば、自分で食べない野菜は今後も「ともに食堂」とかマーケットに出してみようかな、っていう感想が一番嬉しかったです。

━━難しかったこと、悩んだことはありますか?

吉田)正直なこと言うと、いろんな地域のおじいちゃん、おばあちゃんに最初に話をした時は、皆さんあんまり乗り気じゃなかったんです。「別にそんな1回だけあんたが開催しても意味ない」って言われて、確かにそうだと思いましたし。
でも、インターンが終わって、ゴールデンウィークにまた三沢に戻ったんですけど、70歳以上の方から野菜をもらったりするイベントを開催する予定だ、っていうのを聞いて、自分でやったことが繋がってるんだって感じてすごい嬉しかったです。

動き出す力を手に入れた

━━インターンを通して、自身の変化があれば教えてください。

鈴木)インターン中に「ゆうちゃんはすぐ聞いちゃうけど1回自分で考えて、いろんな事例とか集めながら答えを出してみてもいいんじゃない?」って、言われたことがずっと頭の中に残ってて、大学に戻ってからもその言葉を思い出して、与えられた環境で自分がしたいプロジェクトを、自分がしたいようにやってしまってたんじゃないか、って思って。
奥出雲には面白い人やプロジェクトたくさんあったけど、奥出雲だけじゃなくてもっと全国いろんなところ見てみたら、他にも面白い考えの人とか、地域のため何らかイベントを開催してる人とかたくさんいるわけで、自分がそれにたどり着くことができるかどうかっていうのが大切なんだって気づいたんです。
奥出雲でのことも、最近身につけてる知識も、ちゃんと「記憶」じゃなくてノートとかに書き出して「記録」をつけてるようにしたところは変わったところかなと思います。

吉田)イベントとか開催するときに、仮説を立ててようとしてすぐ一歩踏み出さないのが自分というか、踏み出すことに躊躇してしまう部分があったんですけど、インターンを通して「とりあえずやってみる」っていう考え方が自分の中に新しくできました。インターンが終わった後も自分の成長のための勉強を、自発的にやるようになって、ここが一番変わった部分かなと思います。

こたつ大作戦!

━━今回は受入先の方の家にホームステイするスタイルでしたが生活面はいかがでしたか?

鈴木)雪がたくさん降るってきいていたので、それが一番心配だったんですが、ほんとにちょっと降っただけで大丈夫でした。
でも本当に寒くて、こうくん(吉田さん)と一生こたつの取り合いをしてました。

━━どっちが足を伸ばすか、ですか?

鈴木)いや、どっちが占領するかです。学校のZOOMミーティングがあると、同じ部屋に2人はいれないので、どっちがこたつのある部屋を使うかをじゃんけんしてで決めてました(笑)

━━それは熾烈な戦いだね。他に困ったことはなかったですか?

吉田)スーパーも徒歩で行ける距離なので全然不便はなかったです。
いいなぁと思ったのが、すれ違って挨拶するのを皆さん当たり前にやってたんですけど、当たり前じゃないじゃないですか。それこそ兵庫とか都会でやったら変な人だし。
しかも、「おはようございます」「こんにちは」の挨拶だけじゃなくて、それこそ「元気してましたか」とか「体調大丈夫ですか」とか、体調をチェックとか挨拶の兼ねてやってたので、一言だけじゃないことがすごくいいな、と思いました。

とりあえず動き出す!

━━それでは、最後にこの記事を読んでくれている方に一言お願いします!

吉田)現地に入ってみないとわからないことがたくさんなので、事前の情報だけで 立ち止まっちゃったり、毛嫌いしてしまうのはもったいないから、なんか一歩踏み出して見てほしいです。

━━ちなみに、吉田さんが一歩踏み出せたきっかけは何だったんですか?

吉田)変わらなきゃって思ってて 。ずっと大学入学まで何もやってこなかったから、変わらなきゃって思いがあって、それが遅いのか早いかだから、できるだけ早く動き出した方がいいかなって自分の中で思ったからです。

━━鈴木さんからも一言お願いします!

鈴木)私もこうくんとも似てるんですけど、本当に初めの一歩ってすごい緊張するし、何でそんなことやるの?ってつっこんでくる人もいるかもしれないんですけど、やってよかったって私は思ったので、「とりあえず申し込んでみる」とか「とりあえず関わってみる」っていう軽い気持ちでもいいかなと思います。重く考えずに!