【インタビュー】命の循環を届けるということ
生まれ育った静岡を飛び出し、命をいただく最前線へ。
KANUKA PARKの現場に身を置いた大学生が、「命の循環を届ける」という言葉をどう受け取ったのか。その過程を伺いました。
今回インタビューした学生

土屋 新太さん(写真左から2人目)
大学:常葉大学 3年
出身:静岡県
雲南市の好きなところ:“KANUKA PARK”の皆さんは勿論のこと、すれ違う住民の方たちの挨拶を欠かさないところ
ミッションと受入先紹介
受け入れ先:KANUKA PARK
テーマ :ジビエ料理で地域課題を地域資源へ。命の循環を届けるプロジェクトマネージャー募集!
受入期間 :令和7年2月~3月
知らない世界を知る
ーインターンシップに参加したきっかけを教えてください
静岡県で生まれ、21年間ずっと静岡で暮らしてきました。だからこそ、静岡以外の景色が見たいと思ったのが最初のきっかけです。
まずは東北でインターンを経験し、静岡と違う面白さを知ったことで、次は西日本でインターンに挑戦したいと考えるようになりました。
どのインターンに行こうか迷っていた時期に『グランメゾン東京』というドラマの再放送をやっていて、ハンターが獲ったジビエを余すことなく全部いただくシーンがあったんです。残酷な部分もあるとは思うけど、普通に生きていたらなかなか見ることができないし、でも絶対に自分のこの目で見るべきだって思ってKANUKA PARKに応募しました。
命をいただくとはどういうことか
ーインターンシップではどんなことしましたか
KANUKA PARKではジビエの加工から販売まで全部一貫して行っているので、猪をとり、内臓をとって解体・加工して出店・販売するところまでほとんど一通り体験させていただきました。
前半は雪がすごくて猪がとれなかったのでKANUKA PARKの関係者やステークホルダーに挨拶させていただいたり、農家さんや卸先の飲食店を訪問させていただきました。
雪が落ち着いてからは、加工場での仕込み作業を体験しました。キッチンカーを出店する際に販売するハンバーガーのパテを作ったり、お肉を串に刺して串焼きの準備をしたり、オンラインストアや店舗で売ってる猪ジャーキーの肉の加工や袋詰めも手伝ったりしました。
後半は、檻にかかった猪をとりにいく現場に同行することもできました。

ー命をいただく最前線の現場を体験していかがでしたか
罠を仕掛けている地元の猟師さんから猪がとれたという連絡が入ると、他の作業を止めて最優先で現場へ向かいます。とどめのタイミングも可能な限り待ってもらいます。また、猪をとりに行く現場は加工場から30分以内の場所に限定しており、貴重な命を最大限美味しくいただくために強いこだわりを感じました。
僕が現場に同行した時は、檻の中に4頭の猪がいました。どれも20kgほどの小さな個体です。猟師の方が空気砲を撃ち猪が倒れる様は思わず息を呑む光景で、「うわっ」と声が出たのを覚えています。
また、その中の一頭が檻から必死に抵抗する姿を見たとき、僕自身が飼っている犬の目と猪の目が重なりました。あの目は今でも忘れられません。
その後、血抜きや解体作業を見学させていただきました。鮮度の高さがはっきりわかる、鮮やかで美しい内臓の色合いにこだわりの一片を感じました。

美味しさを伝えるために
ーご自身のインターン中の目標と取り組みについて教えてください
僕は「ファンを増やす」を目標に掲げ、様々なことに取り組みました。
まずは、トレーニングジムで販売されている『猪ジャーキー』の販促用のチラシの作成を行いました。芸術系の友達にも相談して、文字を減らしてシンプルなデザインにして、前を通ったときに「何だろう?」って思わず手に取ってしまうようなデザインになるよう工夫しました。
僕自身も猪ジャーキーの虜になったので、次に取り組んだのは、私用で東京に行った際に、よくいく日本酒の立ち飲み屋への売り込みです。
結果は、正直うまくいきませんでした。ただ、この経験から販売にはマーケティングがいかに重要か学びとることができました。
お店の方からは「とても美味しいけれど、立ち飲み屋のつまみは、口に入れた瞬間ガツンとくる味じゃないと売れないよ」という評価をいただきました。常連の方からも「旨みはすごい。噛めば噛むほど深みを感じる味は、立ち飲み屋には向かないなぁ」という率直な声をもらいました。どれだけ良い商品でも、業態に合っていなければ届かない。「猪ジャーキー」は、どんな場所で、どんな人にこそ合うのか、売り込む前に深く考える必要があると気付かされました。
他には、出店時の声掛けも工夫しました。
「何を伝えるか」を意識するように言われて、言葉選びにとても悩みました。「奥出雲から来ました」「ジビエです」「猪です」「ジビエの概念が変わります」など、様々な言葉を試しながら、どうすれば足を止めてもらえるのかを考え続けました。伝える言葉ひとつで、選ばれる商品が変わる。売れるかどうかは決して偶然ではなく、何をどう伝えるのかで決まるのだと実感しました。
ーインターンを通して、学んだこと、成長したことを教えてください
まずは命の大切さです。
実際に命のやり取りをする現場を見て、自分が今まで食べてきたものがこういうステップを踏んでるんだっていうのを実体験でき、命の大切さに対する理解が深まりました。
もう一つは、自分の意見をちゃんと言わないといけない、ということです。
皆さんは最初から気軽に声をかけてくださるのに、なかなか距離が縮まらないことがありました。それは、僕自身が気付かぬうちに壁を作っていたからだったのです。寄り添ってくださる方に対して、僕自身も寄り添って接したいと今振り返って思います。もっと人を頼って、早く打ち解けることで、もっと早く僕自身の行動を磨いていくべきだったなと。

人の垣根がないまち
ー雲南市で暮らしてみていかがでしたか
元々住んでおられる方と移住者との壁がないっていうのが、他の地域にはなかった一番の違いです。
以前訪れた地域では、移住者とその地域で生まれ育った方、それぞれにコミュニティがあり、交流はあっても、どこか別の輪っていう印象でした。
その点、雲南市ではコミュニティが分かれておらず、1つの輪の中に自然と溶け込んでいる感覚があります。ご近所の方とも「どこから来たの~」という何気ない一言から会話が始まり、気づけば普通に色んな話で盛り上がるんですよね。本当に壁がないなってびっくりしました。
元気な挨拶を体感してほしい!
ー最後に今後雲南市でインターンシップをしたいと考えている学生に向けてメッセージをお願いします
とりあえず一歩踏み出してみて下さい。あとは野となれ山となれです(笑)。一か月もの間、知らないまちで誰も知っている人のいない中、過ごすのって大変かもしれないけど意外となんとかなるし、受け入れ先の方もインターンのスタッフの皆さんもすごく親切で終わってみればあっという間の一か月になります。
あと雲南は挨拶がすごいんですよ!木次駅からバスで通ってたんですけど、ご高齢が気さくに話しかけてくださったり、中高生がめちゃくちゃ元気に「こんにちは!」って挨拶してくれるんです。
16、17歳のころなんて恥ずかしがって挨拶とかあまりしなくなるじゃないですか。そんなこと全然なくて、めちゃくちゃ元気に挨拶してくれるのにびっくりしました。
編集後記
インターンが終わったあとも、KANUKA PARKさんが東京のイベントに出店されるときは遊びに来てくれた土屋さん。久しぶりの再会となりました。


