【インタビュー】成果を得ようとしないこと
今回お話をうかがったのは、認定NPO法人カタリバのインターンシップに取り組んだ大学生。積極的に目標をたて、成長に向けて取り組むことをあえて「しない」、その裏にある想いとインターンシップで得たものについて伺いました。
今回インタビューした学生
ユウさん
大学:京都府の大学に通う大学3年生
出身:雲南市加茂町
雲南市の好きなところ:居心地の良さ、ゆったりとした空気感
ミッションと受入先紹介
受け入れ先:
認定NPO法人カタリバ
(雲南市教育支援センターおんせんキャンパス)
テーマ :不登校支援の現場で子どもたちのニーズをもとに、自分のやってみたいを形にしてみよう!
受入期間 :令和6年8月~9月
将来を見据え、雲南市で働くを体感
ーインターンシップに参加したきっかけを教えてください
ちょうど姉がカタリバさんで長期インターンシップをさせていただいていて、話を聞いて(もちろん話せないことが多いので簡単なさわりだけですけど)いいなって思っていたのと、もともとずっと教育に興味があって現場を見てみたかったので応募しました。
ー雲南ご出身ですが、将来は雲南で就職を考えているんですか
はい。昔から、将来は雲南で就職したいと思っていたので、「雲南で働き暮らすを体感する」っていうテーマはまさに自分にうってつけだと思いました。
同じ目線、同じ時間、同じ体験を共有する
ーインターンシップではどんなことしましたか
主にはおんせんキャンパスに来ている子どもたちの伴走です。
学習だったら、横に寄り添って分からないことにこたえたり、勉強を促したり見守るみたいな感じですね。
逆にグループワークでは活動に一緒に参加して、同じ活動をして同じ時間を過ごすってことを意識しました。校外の活動で稲刈りだったり、近くの郵便局に行って地域で働く姿をみるキャリア授業にも参加しました。
おんせんキャンパスにいる間は、自分1人で作業する時間を意識的に取らないようにして、子どもたちと同じ目線で同じ体験をするってことを大事にしていました。
ー印象に残ったことはなんですか
最初、子どもたちにとって自分は部外者で、「この人誰だろう?」みたいな目で遠巻きにしていた子が、2〜3日過ぎたぐらいで自分から話しかけに来てくれたのが今でも印象に残っています。もう最後の方では友達みたいな感じで、年代関係なく友達になれるのがおんせんキャンパスでインターンするっていうことの一番大きいことかなと思いました。それが1番印象に残ったことです。
ー子どもたちと関係性を築く上で気を付けていたことはありますか
自分はカタリバに来ている子どもたちと空気感が似てるみたいで、それはすごいありがたかったですね。小さなことなんですけど、声のトーンや、話すタイミング、距離感であったり。気を付けていたのは、子どもたち自身がやっていることや、時間を尊重して、なるべく邪魔しないようにしてました。インターン生の働きとしては、積極性がなくてあまりよくないのかもしれませんが、おんせんキャンパスで子どもたちと関わる上ではそれで良いのかなと。
あえて目標を立てない
ーインターンシップではあえて目標を立てなかったと伺いましたがどうしてですか
インターンシップでの働きと、おんせんキャンパスで働くっていうことの兼ね合いが自分にはすごく難しくて。
本来、インターシップって自身が成長するための目標を立てて、達成するために積極的に行動するのがあるべき姿だと思うんです。でもその積極性や勢いが、おんせんキャンパスの子どもたちにとっては、逆に圧迫感みたいに感じて良くないのではと感じていて。自分もおんせんキャンパスの子どもたちみたいな経験があって、当時そういうのがすごく苦手だったんです。だから、無理に接したり、踏み込みすぎて子どもたちのストレスになりたくないっていう思いがありました。
中間面談の際にそのことを相談して、インターシップを通して達成する目標を立てるのはやめよう、となりました。その代わりに毎日達成する小さな目標を立てるというスタイルに変えたんです。具体的には、日報の活動報告欄にその日に気づいた課題を書いて、次の日の活動計画の欄には課題をふまえ、翌日達成する小さな目標を立てて日々取り組みました。カタリバの皆さんも、umiの皆さんも、自分の悩みを真摯に聞いてくださって本当に心強かったです。そこからは自分らしく活動ができるようになりました。
人と話すことが苦手じゃなくなった
ーインターンシップを通して、自分が変わった、成長したなと思うところはどこですか
人とかかわるっていうのが苦手だったのが改善されて、人と話すのが苦じゃなくなりました。
今までは人の目を見て話すことが苦手で、相手の考えていることが直に感じとれたり、相手の表情がわかるのが怖いって思ってたんです。だけど、子どもたちはすごい純粋に目を見てくるし、スタッフの方も優しい方ばっかりで、人と話すのが苦じゃなくなったていうのがまず大きな変化でした。
あとは、インターンシップをやり切ったことで、自信もついたかなと思います。インターンシップの最後に「サンプリング」っていう、自分のこれまでを話すことを行ったのですが、資料や自分グラフを作る中で、自分を客観的に振り返ることができて、冷静に自分の成長を感じ取れたのは大きかったです。
ー大学進学とともに雲南を出ておられますが、久々の雲南暮らしはいかがでしたか
やっぱり思うのは移動が大変でした。おんせんキャンパスへはバスで通っていたので、常にバスの時間を意識しないといけないし、どこへ行くにも車がないと不便でした。
ただ、それも「良さ」っていったらあれですけど、バスの運転手の方や、すれ違う他のバスの運転手の方、よくその道を通るトラックの運転手の方、バス路線にある郵便局の方だったりが挨拶じゃないですけど、こう手を上げてコミュニケーションを取ってて、地域全体の繋がりみたいな感じがして、地域の雰囲気の良さを改めて感じとれました。
知らない世界へ飛び込む勇気
ー最後に今後雲南市でインターンシップをしたいと考えている学生に向けてメッセージをお願いします
やりたいことや、やりたい職業が決まっていなくても、とりあえずその場に飛び込んでみるのが大事かなと思います。自分が思っている以上に知らない世界があって、そこでの経験で自分が想定していないようなことを得られるので。
自分が成長できたり、逆に成長できなくても自分を振り返るきっかけになったり、いずれにしろ大きい経験が得られるものだと思います。
自分は失敗するのが怖い性格だし、自分から積極的にできたわけじゃないけど、温泉キャンパスが特殊な環境、というか特殊なインターンシップ先だったのもあって、思ってもない経験とか出会いがありすごい充実した時間でした。うまいこと言えないですけど、準備が十分できてなくても毎日しっかり向き合って色々考えながら動けば、いい方でも悪い方でも気づきや、経験、課題が見つかって充実したものが得られると思います。