【インタビュー】失敗を失敗で終わらせない
今回お話を伺ったのは、株式会社出雲たかはしでインターンシップに取り組んだ学生。大学で学んだマーケティングを留学先のブータンで生かし切れなかった苦い思いが、彼をどんな成長に導いたのか。学びと成長の成果を伺いました。
今回インタビューした学生

原田 惺士朗さん
大学:甲南大学 2年
出身:島根県出雲市
雲南市の好きなところ:人と人との距離感がとても近く、友人だけでなく、年上の人と斜めの関係性が築きやすいところ
ミッションと受入先紹介
受け入れ先:株式会社出雲たかはし
テーマ :効率的思考のめんどくさがり屋さん大募集?! 究極のマーケティング、ここにあり。
受入期間 :令和7年2月~3月
大学で学んだマーケティングとは何なのか
ーインターンシップに参加したきっかけを教えてください
「地元・島根県と関東・関西の都市圏での働き方を比べたい」という思いを先輩に相談したところ、「まずは島根でしっかり経験してみるといい」と背中を押されました。そこから、島根県内で低学年から参加できる長期インターンを探し始めました。
ちょうどその頃、大阪で開催されたイベントでインターンシップの紹介があり、知人からも勧められたことがきっかけとなり、参加を決めました。出雲たかはしを選んだ理由は、実践を通してマーケティングを学べることと、社長から直接指導を受けられる環境があったことです。
以前、ブータン留学中にマーケティングに取り組んだ際、現地の方から厳しい評価を受けました。大学で学んできたマーケティングが思うように通用せず、悔しさとともに、「自分自身が大学で学んできたことは社会の役に立たないのではないか」という無力感を強く感じました。だからこそ、大学で学んだマーケティングと、76年続いてきた企業の中で培われてきたやり方は何が違うのかを知りたくなりました。ブータンでの失敗を失敗のまま終わらせず、自分の新たな学びとして昇華させたかったんです。
カバン持ちから経営を学ぶ
ーインターンシップではどんなことしましたか
前半は、「カバン持ち」として社長に同行させていただき、経営や意思決定の現場を間近で学ぶ機会をいただきました。僕のやりたいことに合わせてそのような立ち位置を用意してもらったんだと思います。
社内の会議だけでなく、商談に参加させていただいたり、社長が所属されている中小企業同友会の会議や、社長が委員長を務める雲南市の第三次総合計画の策定会議にも参加させていただきました。めったにできない経験なので、本当にありがたかったです。
その中で、出雲たかはしという会社がどういう状況にあるのかを、様々な角度から把握することができました。2週目は製造現場にも入らせてもらって、ラーメンやそばの袋詰め作業をしました。3週目からは、それまでに見てきたこと、感じたことを踏まえて課題解決に取り組みました。

ーどんな課題解決に取り組まれたんですか
通販事業のマーケティングに取り組み、企画提案までを担当しました。
まず、通販の売上データの分析をして、閑散期と繁忙期の売上差がかなり大きいことに着目しました。そこで「閑散期の売上を伸ばす」という目標を自分で設定し社長に相談したところ「そこは自分たちも長年の課題だ」と共感を得ることができ、このテーマで進めることになりました。
その後、社員の方や社長へのヒアリング、通販データの分析を重ねながら、カスタマージャーニーマップを作成し、「誰が」「どのタイミングで」「何を感じ」「どう行動するのか」を一つずつ整理して、最終的に新たな商品とそのパッケージ提案を行ないました。
ー進める上で、どんな困難がありましか
テーマが決まった後、そのアプローチを考える過程が一番きつかったですね。フレームワークに当てはめて進めればマーケティングの答えが出る、という作業でなく、むしろフレームワークに書いている内容そのものが本当に合っているのかを問い続け、ひたすら試行錯誤を繰り返す日々だったと思います。なので、取り組んでいる最中は「このペースで合っているのか」「本当に結果を出せるのか」と、ゴールが見えず、焦りや不安を強く感じていました。「きついな」って思いながらも、とにかく考えて考えて考え続けた時間でした。
ーどうやって乗り越えたんですか
一人で考えすぎないようにしました。
周りの方にフィードバックをもらったり、両親にアイデアを話してみたり、社長にも何度も壁打ちをしてもらいました。一人で考えていると、知らないうちにズレていくんですよね。社長と話して、「今考えるべきはそこじゃない」って言われて、「あれ?ズレてたな」って気づくことが何回もありました。人と話すことで、軌道修正を繰り返していった感覚です。
地に足のついたマーケティングを
ー最終的に提案した企画と、その反応について教えてください
提案したのは3つです。
・昭和の日に合わせた「昭和レトロラーメン」
・1〜3月向けの「紅白うどんセット」
・神在月に着目した「神在そば」


最終日は、営業の方、通販の方、社長を含めて7名ほどの前でプレゼンをしました。
フィードバックでは「1か月でここまでよく詰めたな」というお褒めの言葉をいただきました。
一方で、昭和レトロラーメンと紅白うどんについては「ベタだからこそ、今の市場で本当に売れているかの、類似商品データの分析が欲しい」という指摘がありました。神在そばはパッケージの評価は高かったですが、繁忙期と少し重なる点や、これまで出雲たかはしを知らなかった人にアプローチするのが難しい、といった指摘もいただきました。
社長からは「マーケティングは、インターン生一人の取り組みで完結するものではなく、社員も関わりながら会社として考えていくことが大切だ」というお話がありました。その上で、今回の提案をたたき台として、今後は社内で議論を深めながら、閑散期のアプローチを検討していくという方向性が共有されました。学生である自分は、ここまでを一つの区切りとし、提案内容を会社に引き継ぐ形となりましたが、企業として継続的に取り組んでいくための考え方や、チームで進めていくことの重要性を、社長の視点から学ばせてもらったと感じています。
ー今回のインターンで得た、一番大きな学びは何ですか
地に足のついたマーケティングを実践できたことです。
ブータンでは、環境や文化的な背景、現地の人の声を聞かずに進めてしまって、完全に独りよがりの自己満足なマーケティングになっていたと気づきました。今回は、製造、営業、通販と、できるだけ多くの人に話を聞いて、その上で見えてきた課題を企画に落とし込みました。だから最終発表でも、全否定されることはなく「確かにそれはそうだよね」と言ってもらうことができました。その感覚は、自分の中ですごく大きかったです。

オールラウンダーな人材とは
ー今回のインターンのもう一つの目的、島根で働くことに関してはいかがでしたか
以前、先輩から「島根ではオールラウンダーな人材が求められるよ」と聞いていて、その時はあんまりピンと来ていなかったんですが、実体験して理解することができました。社長が行政や同友会などの様々な活動に携わっている姿を見て、自分の専門分野以外に使う時間がかなり多いことに驚きました。正直、自分が同じ働き方をできるかと言われると、簡単ではないと思いました。それはネガティブに感じたわけではなく現実を知れてよかった、という感覚ですね。これこそが、U.C.Cinternのテーマでもある「働き、暮らすを知る」ということなんだと思いました。
ー雲南市での生活はいかがでしたか
おもろい人が集まっているな、という印象です。それだけじゃなく、そういった人が集まるコミュニティがいくつもあって、そこに交じりやすいのも魅力だと感じました。雲南市の第三次総合計画はその集大成だと思いましたし、中小企業同友会の皆さんもすごくアグレッシブでたくさん刺激をいただきました。そういった人と繋がりやすいということが、雲南市のとても大きな魅力ですね。
限界までやりきれた
ー最後に今後雲南市でインターンシップをしたいと考えている学生に向けてメッセージをお願いします。
受け身にならない人だったら、めちゃくちゃいいインターンになると思います。ただ何となくインターンに来た、じゃなくて、学びに来たという覚悟を持ってやったら、やった分だけ返ってきます。それと、目的意識を明確にしたうえで受け入れ先選びをした方がいいと思います。面接の時点でしっかり目的を伝えたら、スタッフがプロの目線から自分にあった受け入れ先をアドバイスしてくれます。自分だけでなく他のメンバーも個人の色に合った受け入れ先でインターンをしていました。1ヶ月って長く思えてあっという間だから、もちろんふわっとしてても乗り越えられるけど、自分はめちゃくちゃきつい時間が合った分、濃い学びが得られました。限界まではやれたな、という感覚があります。

