自ら生み出す、ただいまを言える場所

生粋の神奈川っこの藤田さんが大学1年生の時に参加したのは、遠く離れた島根県雲南市のインターン。受け入れ先は、これまで藤田さんと接点のなかった自動車部品を中心とした製造会社。しかしこのインターンをきっかけに藤田さんは雲南市や島根県と長く深い関係を築いていった。彼女をそこまで惹きつける魅力とはいったいどこにあるのだろうか。

■今回インタビューしたU.C.C



■藤田愛(20)
・専修大学経営学部ビジネスデザイン学科3年
・神奈川県出身
・雲南の好きなところは「山光があるところ」

他の大学生と違うことがしたい

━まずはU.C.Cで関わった活動について教えてください
藤田:2019年のスタートアップ合宿に参加して、夏に株式会社山光に実践型インターンシップに行きました。2020年になってからも春の実践型インターンシップとうんなんチャレンジラボで山光さんにお世話になりました。

━何度も活動されてるんですね。神奈川ご出身ということですが、雲南と関わるきっかけは何でしたか?
藤田:大学1年生前期に専修リーダーシップ開発プログラムという座学と課外活動がセットになった講義を受講したんです。課外活動先に応じてチームが選べたのですが、地元企業に紛れて、しまコトアカデミーという島根県に関するチームがありました。ここで選ばなければ今後島根県のことを知る機会がないだろうし、何より他の学生と違うことがしたいという想いからしまコトアカデミーを選びました。実際に始まってみると、最初は座学のみで課外活動は7月からの予定だったんですが、できるだけ早く島根に行きたい!と思っていました。そのときたまたま、しまコトアカデミーの事務局の方から6月に雲南市で開催されるU.C.Cのスタートアップ合宿を紹介していただいたので思い切って参加したのがきっかけですね。

ー実際に現地に訪れ、スタートアップ合宿に参加してみていかがでしたか?
藤田:一言で言うと島根にハマった!という感じです(笑)。スタートアップ合宿では、雲南の地域や企業を見学したり、それに携わる人のお話を聞く機会が設けられていたんですけど、「こんなことを地域と企業のためにしたい!」と計画書まで持って語られていた方がいたことを印象深く覚えています。その後も、いろんなところで地域をよくしたい、自分がこんなことがしたいと思っている人とたくさん出会うことがありました。
私は今横浜に住んでるんですけど、それまで地元をよくしたいとか考えることがありませんでした。そもそも神奈川好きっていうようなことがあったっけ?と思ったりして、それで、島根に対して「なにここ!」「面白い!」ってなりました。
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ーインターン先の候補はいくつかあったと思いますが、山光を選ばれたのはなぜですか?

藤田:改めてインターン先を選ぶタイミングでU.C.C事務局の方と面談をし、難しいテーマだよと紹介されたのが山光でした。せっかく島根に1ヶ月も行くのであれば、最大限成長して帰りたいという思いと、難しいからこそみんなが避けがちなところにあえて挑戦したいという気持ちがあったので、「難しい」という言葉に惹かれて山光に飛び込んでいきました。

ーインターンではどんな活動をされていたんですか?
藤田:実はインターンは2回参加していて、1回目は作業の無駄や無理を、外部からのフラットな目線や、作業されてる方にヒアリングを行って改善する、ということをしていました。例えば工場のレイアウトをよく使う導線に応じて変えたり、製品管理が担当者しかわからないような形で行われていたので、誰が見てもわかるように伝票ケースを付けたりしました。
2回目は、若者の採用活動に使う動画・パンフレット・説明資料の作成を行いました。動画やパンフレットは、社員さんの声や会社の大切にしていることを全面にPRできるように工夫し、説明資料は合同説明会でどの社員さんが説明をしても重要なことがきちんと伝えられるようなパワーポイントを作成しました。

(▲実際に藤田さんが製作した動画)


ー実際にインターンをしてみて、山光の印象はいかがでしたか?

藤田:正直、最初はめちゃくちゃ怖かったです(笑)。社長は「ガンガン質問しにいっていいよ」と言ってたけど、実際に工場に行って製品の検査している人に話しかけに行くと邪魔になってしまうんじゃないか、迷惑なんじゃないかと遠慮してしまって。でも、せっかく受け入れてくださったので、なにも成果を出さずに終わるよりは行っちゃおう!と思えました。


ー1回目から継続して関わろうと思われたのはなぜですか?

藤田:春に2回目行くときに、あえて違うところに行くのもいいかと思ったんですが、まず山光が好きで、あの人たちのところで学びたいというのがありました。インターン的にも、新しいミッションに挑戦させてもらえたし、経営学部的にも企業のリアルが見れることがすごく勉強になったんです。「え、これ、みていいんですか?」というような部分までかなりオープンに関わらせていただいて、夏にすでに関係構築ができているからこそ、挑戦できたことだと思いました。
周りからもよく、なんで島根なの?とか地域に興味があるなら島根や日本以外でも活動してみたら?って言われるんですけど、私は地域活性化に興味があると言うよりは、島根や山光さんに一直線なだけなんです(笑)。

ーそこまで藤田さんを惹きつける山光の魅力はなんだとお考えですか?

藤田:頑張れば頑張るほど、山光の皆さんも応えてくださることだと思います。熱量が常に同じというか、一緒に創っている感があって。大学の授業にもいろんな人がきて面白いなと思っても、学生と企業さんがお互いに探り探りな感じになりがちで、そういった壁みたいなものを感じないのが山光の魅力だと思います。

(▲藤田さん(真ん中)と株式会社山光の方々(両隣))

島根を知るチャンスをつくりたい

ー藤田さんが現在代表を務める「となりのしまね」の活動について教えてください。
藤田:いろんな活動を終えて神奈川の友達に島根の話をしたら、観光地とかはもちろん、関わった人の話や企業とそういった関係性を築けていることに興味を持ってくれたんです。それで、好き嫌いの前にそもそも関東の大学生が島根を知るチャンスがあまりないだけで、話をすれば興味を持ってくれるんじゃないか、という考えでスタートしました。オンラインラジオやインスタグラムなどで島根に関する情報を発信しています。

●となりのしまねインスタグラム


ー藤田さんにとって島根はどういう存在ですか?
藤田:出身でもなんでもない私を暖かく迎え入れてくれるような雰囲気を島根全体に感じます。一回、特に事前に連絡もせずに、雲南に行ったことがあるんですけど、その時にインターンシップでお世話になった人におかえりと言ってもらえて嬉しかったです。逆に私や大学の友達が島根に興味を持つのも、関東ではあまりいう機会のない「ただいま」を言いたいからかもしれません。

ー今後「となりのしまね」でやっていきたいことはありますか?
藤田:となりのしまねを通して、自分の地元はどうだろう?と振り返るようになりました。実は島根だけでなく、となりの神奈川のインスタアカウントを作ってひっそり発信しているんです(笑)。意外と神奈川にもいろいろあるんだと実感しました。こんな感じでいろんな地域の「となりの」シリーズが増えていって、自分のまちのプレゼン大会とかできたら面白いなと思います。

大学1年生から挑戦できる

U.C.Cで関わった人たちと今でも交流はありますか?
藤田:インターン生同士の関わりは強くて、お互いのイベントに関わったりとか、少し前ですけどインターンシップした仲間と再び集まって旅行したりしてました(笑)。山光さんも頻繁に連絡してるわけじゃないんですけど、たまに自分の活動が新聞に掲載されるとリアクションをもらったり、facebookの投稿に反応があったり見守ってもらってる感があります。

ーそれでは最後にこの記事を読んでいる人に向けてメッセージをお願いします!
藤田:インターンシップって就活のためのもので、大学3年生がやるイメージがあったんですけど、 U.C.Cのインターンシップはそういうのとは少し違うと思うんです。私は何より、大学1年生から挑戦できるというのが衝撃でした。1年生の間はどこにヒットがあるか分からないと思うので、学部とか学年とかに関係なく窓口を広く持って、いろんな活動に参加してみたください。特に雲南は失敗しても、それに対して次どうしようを一緒に考えてくれたり、見守ってくれる人が多いのでたくさん経験してたくさん吸収していって欲しいです。