【インタビュー】自分がランクアップできる場所

今回お話を伺ったのは、たすき株式会社でインターンシップに取り組んだお二人。オトナリの新たな可能性に挑んだ二人に、挑戦した内容とその学びについて伺いました。

今回インタビューした学生

(写真一番左)
サエさん
大学:兵庫県の大学に通う2年生
出身:大阪府
雲南市の好きなところ:年代や性別問わず、地域や日本の未来のことを考えている人が多くいるところ

(写真中央)
ヒロさん
大学:徳島の大学に通う2年生
出身:愛媛県
雲南市の好きなところ:チャレンジを応援してくれるところと朝が綺麗なとこです!

ミッションと受入先紹介

受け入れ先:たすき株式会社
テーマ  :泊まる、働く、挑戦する。まちの賑わい創出拠点“オトナリ”の新たなフェーズを開拓する仲間募集!
受入期間 :令和6年7月~9月

【募集終了】2024年度前期U.C.Cまちまるごとインターンシップ

“まちまるごとインターンシップ”は、雲南市主催の雲南コミュニティキャンパス(U.C.C)の一環で実施するプロジェクトです。雲南コミュニティキャンパス(U.C.C)は、日本…

現地に行かないとわからないことがある

ーインターンシップに参加したきっかけを教えてください

サエ)以前インターンシップをした際に、地域課題について現地でインタビューをしたところ、私たちが想定する課題を地域の方は課題として捉えていないということがありました。実際に地域に訪れる重要性を痛感し、地域に触れながら地域課題を探求したいと思いインターンシップに応募しました。雲南市を選んだのは「日本で1番チャレンジに優しいまち」と聞いていたので、実際のチャレンジの現場を体感できると思ったからです。

ヒロ)自分は就職ではなく起業を目指しているので、起業に適したヒントや経験が得られるようなインターンシップがないか探していました。雲南市のインターンシップを選んだ決め手は2つで、1つ目は期間が1か月以上の長期であること、2つ目は企画から実践までを一貫して行なえることです。インターンシップの期間中に、課題を見つけ、企画し、実践し、分析する。一貫して出来るのがいいなと思って申し込むことにしました。

接客を超えるコミュニケーション

ーインターンシップではどんなことしましたか

サエ)インターンシップ先の「まちのワーキングスペース オトナリ」は宿泊施設兼、ワーキングスペースなので、日々の業務では施設管理(清掃、洗濯、ベッドメイキング等)を中心に行いました。他には、宿泊者用のマニュアルの修正や接客ですね。接客はよくある普通の接客(ご挨拶や施設説明)だけでなく、2時間近く話し込んだり来られた方と深く交流することができました。私自身も色々学ばせていただいた時間でした。

ヒロ)自分も日常の業務はサエさんと同じです。なるべく利用者さんとコミュニケーションを多く取るようにしていて、どこから来られたのかとか、利用してどう思ったか、など色々お話を伺いました。あとは障子貼りもしましたね。

新たなコミュニティ作りの可能性を探る

ー次に、インターンシップ期間を通して行ったご自身の取り組みについて教えください

サエ)私は麻雀会と子どもの勉強会を実施しました。
麻雀会は実家で祖父母が楽しむ姿をよく見ていたので、地域の方と麻雀を通して世代間交流ができたらと思い企画しました。
気を付けたのは集客ですね。あまり快く思わない方もおられるかなと思って、チラシのポスティングなど不特定多数に向けての集客はせず、人のご縁を最大限活用し口コミで集客しました。

実は、私は今まで麻雀をやったことがなくて、難しそうだし一緒に楽しめるか不安だったんですが、参加された方が教えてくださって楽しむことができました。祖父母が楽しんでいた理由もよくわかりました。
やってみて思ったのは麻雀じゃなくても楽しかっただろうな、ということです。ちょっと矛盾しているかもしれませんが、題材はなんでもよくて、場を持つことが大事なんですよね。来てくださった地域の方々の人柄がとっても良かったというのも成功した大きな要因だったと思います。今後も、麻雀に限らず色々な世代の方と交流できる場を企画をしていきたいです。

子どもの勉強会は、小学生から高校生対象までを対象に企画して、地元の小中学生が参加してくれました。子どもが学校以外で社会とコミュニケーションを取ったり、社会で子どもを育てる場を提供できたらいいなと思って企画しましたが、実際やってみて強く価値も感じることができました。一番の反省点は、三刀屋高校の開始時期を把握できてなかったことです。開催日を三刀屋高校の新学期の開始後にしてしまったので、高校生が参加できない会となってしまいました。

この企画を通して、大学生や大人は出雲や松江に出てコミュニティを広げることができるけど、小中学生には交通手段や金銭面において難しいので、オトナリが小中学生の新たなコミュニティの一つになれたらいいなと思いました。大学生が小学生の勉強を教え、教える子どもがいない間は自分の勉強をする。週に1回など定期的に開催して、習い事みたいな感じで通う、そういった学校以外のコミュニティの場を地域に作り出せたらいいなと思います。

木次の「朝」から生まれた新たな空間

ヒロ)自分がインターンシップを通して行ったプロジェクトは朝活です。
朝活をしようと思ったきっかけは、インターンシップ中に木次小学校で開催された「夏期巡回ラジオ体操・みんなの体操会」でした。

たまたま教えてもらって参加したんですが、朝のラジオ体操も、木次の朝の雰囲気もめちゃくちゃ良くて本当に感動しました。もっと多くの人に朝の良さを体感してもらう場が提供できたらいいなと思って「朝活」を企画することしました。
プロジェクトの目標が「オトナリをより良い空間にする」なので、利用者がいない朝の時間を有効活用して、新たな「より良い空間」を作りだせたらなと。オトナリでは今まで朝のイベントをしたことがないので、どのくらい需要があるか実地調査ができる利点もありました。

朝活では「自分が思う朝活をやる」というスタイルで特に参加条件を設けず実施しました。自分は参加された方の朝活がはかどるように、コーヒー提供のサービスを行いました。やってみると、初めて会った人同士のコミュニケーションが生まれたり、かといってガヤガヤしすぎることもなく、それぞれの仕事に取り組まれてて、とてもよい雰囲気になりました。参加された皆さんからも、朝活めっちゃ良かった!って言ってくださって嬉しかったです。
企画としては面白い!ってなったんですけど、オトナリ運営スタッフさんが朝の時間に常駐しないといけない問題もあるので、継続には課題がありますが、ご好評いただいたので、またゲリラ開催があるかもしれません。

就職はゴールではなく、手段の一つ

ーインターンシップを通してご自身が得た学びや変化について教えてください

サエ)世代も出身も違ういろんな人と出会えたことです。
インターンシップ生は全国いろんな地域から集まっていて、大阪出身は自分だけでした。オトナリの運営スタッフさんも年齢・出身ともにバラバラでした。さまざまな世代・出身の方と交流することで自分の価値観がグレードアップされ、偏見がなくなったのを実感しました。

それから、就職に対する考え方が180°変わる出会いもありました。
その方は民間と行政の両方で働いた経験を持っておられる方で、まずは民間の会社に就職しそこで知識や経験を得る。次に行政に転職して、行政としての知識や経験を得る。そうやって2つの視点を得ることで、自身のやりたいことを成し遂げようとしているそうなんです。今まで就職は達成すべき目標で、就職したらゴールだと思っていました。でも、就職は自分がやりたいことを成し遂げるための手段の一つに過ぎず、「やりたいことを達成すること」=「就職」ではないということに気づかされました。
大阪で普通に大学生をしていたら絶対に出会えなかったであろう、貴重な学びの機会だったと思います。

起業の実体験から得られた学び

ヒロ)コミュニケーションを自発的にしたいって気持ちが芽生えたことです。
雲南市でインターンシップをしている中で、関わるコミュニティが増えれば増えるほどワクワクしたり、学びが得られたり、楽しみが増えるというのに気づきました。後半はもっと多くの人に会おうと自ら出かけることが増えました。コミュニケーションの量を増やすことで、価値観がブラッシュアップされたな、と思います。

起業されている方とお話しする機会を多く得られたのも貴重な時間でした。
オトナリはワーキングスペースという特性上、利用者の中に起業されている方が複数いらっしゃいます。ハードルが高いと思われがちな起業に挑戦しようと思った背景や、どう困難を乗り越えていったのか、具体的なエピソードをお聞きすることができて、一つ一つが大きな学びになりました。実体験をお聞きすることができたのは、将来にとって非常に貴重な学びでした。

自分がランクアップできる場所

ー雲南市での暮らしはいかがでしたか

サエ)雲南の景色は本当に素晴らしくて、ドライブがめちゃくちゃ楽しかったです。山並みが連なっている景色や、田んぼが遠くまで続いている景色、映画や日本画の世界そのままって感じで、見れて本当に感動しました。
星もすごくきれいで、大阪だと数えられるくらいしか星が見えないのに、雲南では空いっぱいの満点星空でとても感動しました。

ヒロ)自分は愛媛出身なので、そんなに最初は違わないかなって思っていたんですが、やっぱりちょっと雰囲気が違いましたね。
愛媛は何かのほほんとした感じで、何かするにしてもちょっとスロースターターみたいな雰囲気があるんですけど、雲南の方は「もうよしやろう!」っていう雰囲気がずっと流れていて、勢いみたいなものを感じました。

ー最後にこれから雲南市でインターンシップをしたいと考えている学生に向けてメッセージをお願いします

サエ)雲南市のインターンシップの最大の魅力は、熱量が高い人にたくさん会えることです!大阪で生活してると、街中で見かける大人、例えば通勤で電車に乗っている人とか、ってどこか疲れていて、憂鬱そうで。仕事って辛く苦しいものなんだなって感じるんですよね。雲南市にいると熱量が高い人にお会いすることが本当に多くて、だんだん将来に対してポジティブに思えるようになりました。一般的に言われる社会人の枠から外れて、挑戦する人を見たいんだったら絶対に来た方がいいです。

ヒロ)今まで、インターンシップって企業での就業体験で、形式ばった堅苦しいイメージを持っていました。雲南市でのインターンシップを実践してわかったのは、「働くを体感する」以上に多くのものを得られるということです。人の温かさや、地域との絆、コミュニティの広さや多様性を感じ、学ぶことができました。地域を知るためのインターンシップは、ただ単に自分が体験を通して学べるだけでなく、自分の持つコミュニティが増えたり、たくさんの価値観や考え方を知ることができ、自分がランクアップできる時間です。